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▶ 「平日の睡眠時間と海馬の大きさ」 5~6時間しか寝ない子は、やや小ぶり

東北大学の瀧靖之教授らが行った「健常小児における海馬体積と睡眠時間の相関」という研究があります。
俗伝で「寝る子は育つ」といいますが、海馬といえば脳の中で記憶に関わる領域。脳の両側にある側頭葉の内側にある領域で、記憶を司るといわれます。海馬は入ってきた情報を数十秒間ほどの短期記憶に形成し、それを長期記憶に固定する働きをしているとされます。

瀧先生らは5歳から18歳までの健康な子供290人(男女比は半々)の頭部MRIを撮影して脳の形態を調べると同時に、詳細なアンケート調査によって同じ子供たちの生活習慣を調べました。そこから得られたデータを厳密な数学的手法を用いて年齢や性の差を補正し、解析した結果、たいへんに興味深い結果が得られたそうです。

「平日の睡眠時間と海馬の体積には、有意な正の相関が見られた。わかりやすく言うと、睡眠時間をより長く取っている子供は短い子供に比べて、海馬の体積が大きいことがわかったのです」
10時間ぐらいまでは「睡眠時間の長さに比例して海馬の体積が大きくなる」という関係が成り立っています。そして、睡眠時間が1日5~6時間ぐらいの子供よりも、9~10時間ぐらいの子供のほうが海馬が1割程度大きかったそうです。
今回の研究では、最大でも10時間程度の睡眠時間内での解析なので、『長く眠れば海馬が大きくなる』とは言い切れませんが、マウスの実験や睡眠時無呼吸症候群の患者さんの例から考えて、『十分に睡眠を取らないと海馬の体積が小さくなる』という因果関係が存在するのではないかと推測することは可能です」

「今回調査対象とした子供たちの追跡調査を行っていますので、間もなくこの因果関係についても明らかにできると思います。ただ現時点でも、子供の脳を健康に育てるためには十分な睡眠を取らせたほうがいいと言ってしまっていいのではないかと私個人は考えています。携帯電話やゲームを無制限にやらせて夜更かしさせたりせず、子供はなるべく早く寝かす。脳の発達は10歳前後がピークですから、特に6歳から12歳ぐらいまでの間は、たとえ勉強のためであっても睡眠時間を削るのはよくないと思います」
うつ病やアルツハイマー病の患者では海馬の萎縮が顕著に見られるので、将来子供をこうした病気に罹患(りかん)させないためにも、10歳前後には十分な睡眠を取らせるべきだと瀧先生はおっしゃっています。

「今回の研究から何時間眠れば十分と言うことはできません。しかし、少なくとも10時間までは正の相関が見られたわけですから、たとえ中学受験を控えたお子さんであっても、9時間ぐらいは眠らせてやったほうがいいと思いますね」

わたしの個人的見解ですが、「東北大学の医学部に入ってくる学生たちはそれなりに優秀ですが、聞いてみるとみんなよく眠っています(笑)。僕自身、大学に入るまでは夜の10時前に布団に入って朝の6時半に起きる生活でした。子供の頃、夜の10時以降も起きていたのは紅白歌合戦のときだけでしたよ」早起きは三文の徳。ただし早寝とセットでなければ脳にはよくないようだ。
(『プレジデントFamily 2013年1月号掲載記事より抜粋)(2014.3月)

 




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